「データ送信 最大概ね100Mbps、データ受信 最大概ね100Mbps」。NTT東日本が「マンションタイプ」として公式に案内している、フレッツ光の速度です。
一人暮らしのネット回線でおすすめを探すと、まず事業者の料金比較が出てきます。でも速度の上限を決めているのは、事業者よりも先に建物の中の配線だったりします。
光回線なのに1Gbpsではない…、乗り換えても数字が変わらない…。
契約したあとの話も後半で扱います。
万が一イマイチだった場合も、契約書面を受け取った日から8日以内なら、法律にもとづいて書面で解除できる場合があるんです。
なお、この記事のプラン名と速度はNTT東日本の公表値です。
一人暮らしのネット回線、選択肢は3つ
まずは3つを並べたところからみていきましょう。
| 選択肢 | 開通工事 | 建物側の条件 | 引っ越すとき |
|---|---|---|---|
| 光回線 | 必要 | 建物に光回線が来ているか。共用部に装置を置く場合は管理会社の了承が要ることがある | 移転工事か解約の手続きが必要 |
| ホームルーター | 不要 | 電波が届くこと | 機器を持っていける |
| スマホのテザリング | 不要 | 電波が届くこと | 手続きが要らない |
工事が要るのは光回線だけです。裏を返すと、建物の条件に左右されるのも光回線だけ。
速度を横並びで比べたくなりますが、各社が出しているのは技術規格上の最大値です。
最大通信速度は、技術規格上の最大値であり、実使用速度を示すものではありません。実際の通信速度は、お客さまのご利用環境(端末機器の仕様など)や回線の混雑状況により大幅に低下する場合があります。
公表値は「ここまでしか出ない」という上限であって、「ここまで出る」という約束ではありません。
だから比べるなら、上限が最初から低く設定されていないかを先に見るほうが早いです。
「マンションタイプ」の最大速度が100Mbpsなのはなぜ?
NTT東日本が集合住宅向けに提供しているプランは、大きく3つに分かれます。
| プラン名 | 最大速度(NTT東日本の表記) |
|---|---|
| マンション・ギガラインタイプ | データ送受信 最大概ね1Gbps |
| マンション・ハイスピードタイプ | データ送信 最大概ね100Mbps/データ受信 最大概ね200Mbps |
| マンションタイプ | データ送信 最大概ね100Mbps/データ受信 最大概ね100Mbps |
※NTT東日本の公表値。技術規格上の最大値です。
同じ「光」でも上限が10倍違います。この差を生んでいるのが、建物の中の配線方式です。
共用部から先が、光ファイバーではない
NTT東日本は、VDSL方式についてこう説明しています。
棟内共用スペースに設置した回線終端装置から各戸までは、既存の電話回線用ケーブルを利用
光ファイバーが来ているのは「棟内共用スペース」までで、そこから各部屋までは電話線を使う、と書かれています。
つまり「光回線を契約した」としても、部屋まで光が届いているとは限らないんです。
各戸までをLANケーブルでつなぐLAN配線方式も同じで、エリア検索ではこの2つがまとめて「マンションタイプ」と表示されます。
1Gbpsを選べるのは光配線方式の建物だけ
3つ目が、各戸まで光ファイバーが届いている光配線方式です。同社はプランとの対応をはっきり書いています。
フレッツ 光ネクスト ギガマンション・スマートタイプ/マンション・ギガラインタイプは、光配線方式でのみご利用いただけます。
1Gbpsのプランを選べるかどうかは、建物側でほぼ決まっています。実は切り替えも進んでいて、光配線方式と併設されている建物では、2023年10月23日からVDSL/LAN配線方式の新規申込受付が終了しました。
事業者の比較表を開く前に、住む予定の建物がどの方式かを確かめる。順番としてはこちらが先です。
「インターネット無料」の物件はおすすめ?

家賃に「インターネット無料」と書かれた物件は、部屋探しでよく出てきます。魅力的な条件ですが、確認しておきたい点が2つあります。
1つ目は、備え付けの回線の配線方式です。VDSL方式やLAN配線方式なら、上限は先ほどの表のとおりになります。
2つ目は、自分で別の回線を引けるかどうかです。集合住宅で光配線方式を導入するには、共用部への装置設置が必要になる場合があります。
管理会社さま了承のもと、建物共用部へ光配線方式の装置(光スプリッタ)の導入が必要
主語は「管理会社さま」です。入居者が単独で決められる話ではない、と読めます。
在宅で仕事をする予定があるなら、内見のときにこの2点を聞いておきましょう。契約書にサインする前のほうが、選択肢が多く残っています。
契約前に確認する項目は一人暮らしの初期費用の記事でも整理しています。
書面を受け取ってから8日|法律で決まっている「書面による解除」

ここからが、今回いちばんお伝えしたい部分です。
電気通信サービスの契約には、契約書面を受け取ったあと一定期間内なら解除できる仕組みがあります。一般に「初期契約解除制度」と呼ばれ、国民生活センターの発表によれば平成28年5月21日に施行されました。
根拠は電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二十六条の三です。e-Gov法令検索から、期間を定めた第一項を引用します。
(書面による解除)
第二十六条の三 電気通信事業者と第二十六条第一項第一号又は第二号に掲げる電気通信役務の提供に関する契約を締結した利用者は、総務省令で定める場合を除き、前条第一項の書面を受領した日(当該電気通信役務(第二十六条第一項第一号に掲げる電気通信役務に限る。)の提供が開始された日が当該受領した日より遅いときは、当該開始された日)から起算して八日を経過するまでの間(中略)、書面により当該契約の解除を行うことができる。
※表記を一部省略しています。
条文の見出しは「書面による解除」で、中に「初期契約解除」という言葉は出てきません。通称のほうだけが世の中に出回っている状態です。
起算日は「書面を受領した日」。ただし例外がある
起算日は「前条第一項の書面を受領した日」です。申し込んだ日ではありません。
ただし、すぐあとの括弧書きに例外があります。「第二十六条第一項第一号に掲げる電気通信役務」については、提供が開始された日のほうが遅ければ、そちらが起算日になります。
その第一号は「その一端が移動端末設備と接続される伝送路設備を用いて提供される電気通信役務」。つまりスマホやホームルーターのようなモバイル側の話です。
光回線は第二号にあたるため、この括弧書きは掛かりません。国民生活センターも、同じ内容を短く注記しています。
契約書面の受領日(一部例外的な場合あり)を初日とした8日が経過するまでの間
なお第二項によれば、解除の効力は「書面を発した時」に生じます。8日目に投函しても間に合う、という読み方になります。
全額が戻る制度ではない
お金の話は第三項です。同じくe-Gov法令検索から引用します。
3 電気通信事業者は、第一項の規定による電気通信役務の提供に関する契約の解除があつた場合には、当該契約の解除をした者に対し、当該契約の解除に伴い損害賠償若しくは違約金を請求し、又はその他の金銭等(中略)の支払若しくは交付を請求することができない。ただし、当該契約の解除までの期間において提供を受けた電気通信役務に対して当該契約の解除をした者が支払うべき金額その他の当該契約に関して当該契約の解除をした者が支払うべき金額として総務省令で定める額については、この限りでない。
本文は、違約金や損害賠償を「請求することができない」と定めています。ここだけ読むと全額戻りそうに見えますが、そのあとに「ただし」が続きます。
使った分の料金と、「総務省令で定める額」は請求できる、という書き方です。国民生活センターは、この点をこう説明しています。
事業者は契約解除までの期間のサービス利用料・工事費・事務手数料を消費者に請求することが可能で、工事費・事務手数料については請求できる上限額が決まっています。
工事費まで無条件でゼロになる制度ではない、ということです。上限額は省令で決まるため、金額は契約書面で確かめてください。
一方で第五項は、これらに反する特約で利用者に不利なものは無効、と定めています。契約書に別の条件が書かれていても、そちらが優先されるわけではありません。
ただし冒頭に「総務省令で定める場合を除き」とあるとおり、すべての契約が対象になるわけではありません。ホームルーターやスマホには「確認措置」という別の枠も用意されています。
国民生活センターによれば、どちらかの対象であれば契約書面にその旨の記載があります。まず書面を見て、制度の中身は総務省の消費者保護ルールのページで確認してください。
契約前に確かめる|エリア検索で出る4パターン
配線方式は、NTT東日本のエリア検索に住所を入れると見分けられます。同社の案内をそのまま表にしました。
| エリア検索での表示 | 建物の配線方式 |
|---|---|
| フレッツ 光ネクスト マンションタイプ | VDSL/LAN配線方式の集合装置が単独で設置されている建物 |
| フレッツ 光クロス | VDSL/LAN配線方式と光配線方式の集合装置が併設されている建物 |
| フレッツ 光ネクスト マンション・ギガラインタイプ | 光配線方式の集合装置が単独で設置されている建物 |
| ご指定の住所は詳しい状況確認が必要です | VDSL/LAN/光配線方式のいずれの装置も設置されていない建物 |
※「マンション・ギガラインタイプ」はフレッツ 光クロス未提供エリアでの表示です。
一番下が出たときは、装置そのものが入っていない可能性があります。自己判断せず、管理会社と事業者の両方に確認するのが早いです。
一人暮らしのケース別・おすすめの選び方

3つの選択肢に、「インターネット無料」の物件を加えた4通りで整理しましょう。
| こんな人 | おすすめ | 契約前にやること | いつやるか |
|---|---|---|---|
| 在宅勤務やオンライン会議が多い | 光回線 | 建物のプラン名(配線方式)を調べる | 内見〜申込前 |
| 転勤の可能性があり住む期間が読めない | ホームルーター | 部屋で電波の入りを確かめる | 内見時 |
| 動画とSNSが中心で使う量が少ない | スマホのテザリング | 契約中のデータ容量を確認する | 申込前 |
| 「インターネット無料」の物件に決めた | まず備え付けを使う | 別回線を引けるか管理会社に確認 | 申込前 |
日本賃貸住宅管理協会の日管協短観(第28回)によれば、2023年度の単身世帯の平均居住期間は3年3ヶ月。工事をともなう契約ほど、住む期間より長く残ることがあります。
一人暮らしのネット回線 よくある質問
Q. 光回線の工事は大家さんの許可が必要ですか?
A. 必要になる場合があります。部屋の中だけで完結しない工事があるためです。
NTT東日本は「管理会社さま了承のもと、建物共用部へ光配線方式の装置(光スプリッタ)の導入が必要」と案内しています。申し込む前に、管理会社か大家さんに確認しておきましょう。
Q. ホームルーターは引っ越し先でもそのまま使えますか?
A. 機器は持っていけますが、事業者によっては設置場所の登録変更が必要です。また、引っ越し先で電波が届くかどうかも別の問題として残ります。
契約前に、この2点を事業者に確認しておきましょう。
まとめ|比べるのは事業者より先に建物

今回の内容を振り返ります。
- マンションタイプは最大概ね100Mbps。
- 「光回線」でも、部屋まで光とは限らない。共用部から先が電話線ならVDSL方式、LANケーブルならLAN配線方式
- 1Gbpsを選べるのは光配線方式の建物だけ。エリア検索のプラン名で見分けられる
- 「インターネット無料」は方式を確認。自分で別の回線を引けるかもセットで聞く
- 契約書面を受け取った日から8日以内なら書面で解除できる(電気通信事業法第26条の3)。モバイルは提供開始日が遅ければそちらが起算日
- ただし全額戻る制度ではない。工事費・事務手数料は上限つきで請求されうる
比較サイトの表を何枚見ても、建物の配線方式は出てきません。そこだけは自分で調べる必要がありますね。管理会社に聞くのが一番早いです。
まずはNTT東日本のサービス提供エリア検索に、住む予定の住所を入れてみてください。
出てきたプラン名ひとつで、比べる相手が料金から建物に変わりますよ!


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